Apigee Edge 4.51.00 のロールバック

Edge 4.51.00 への更新時にエラーが発生した場合、エラーの原因となったコンポーネントをロールバックしてから更新を再試行できます。

Edge 4.51.00 は次の機能リリース バージョンにロールバックできます。

  • バージョン 4.50.00
  • バージョン 4.19.06

ロールバックを行うシナリオには、次の 2 つがあります。

  1. 前の機能リリースへのロールバック。たとえば、4.51.00 から 4.50.00 へのロールバックです。
  2. 同じリリースの前の更新バージョンへのロールバック。たとえば、4.50.00.02 から 4.50.00.01 へのロールバックです。

詳細については、Apigee Edge リリース プロセスをご覧ください。

ロールバックを実施できるユーザー

ロールバックを行うユーザーは、Edge を更新したユーザーか、root として実行するユーザーである必要があります。

デフォルトでは、Edge コンポーネントはユーザー「apigee」として動作します。ただし、場合によっては別のユーザーとして Edge コンポーネントを実行することもあります。たとえば、Router が特権付きポート(1000 未満のポート)にアクセスする必要がある場合、Router を root として実行するか、これらのポートに対するアクセス権限が割り当てられたユーザーとして実行しなければなりません。あるいは、あるコンポーネントをあるユーザーとして実行し、別のコンポーネントを別のユーザーとして実行することもできます。

共通のコードを使用するコンポーネント

次の Edge コンポーネントは共通のコードを共有します。したがって、ノード上でこれらのコンポーネントのいずれかをロールバックする場合は、そのノード上でこれらのコンポーネントをすべてロールバックする必要があります。

  • edge-management-server(Management Server)
  • edge-message-processor(Message Processor)
  • edge-router(Router)
  • edge-postgres-server(Postgres Server)
  • edge-qpid-server(Qpid Server)

たとえば、あるノードに Management Server、Router、Message Processor がインストールされている場合、このうちのいずれかをロールバックするとしたら、これら 3 つのコンポーネントのすべてをロールバックする必要があります。

前の機能リリースへのロールバック

前の機能リリースにロールバックするには、該当するコンポーネントをホストしている各ノード上で、次の手順を行います。

  1. ロールバック先のバージョンの bootstrap.sh ファイルをダウンロードします。

    • 4.50.00 にロールバックする場合は、bootstrap_4.50.00.sh をダウンロードします。
      curl https://software.apigee.com/bootstrap_4.50.00.sh -o /tmp/bootstrap_4.50.00.sh 
    • 4.19.06 にロールバックする場合は、bootstrap_4.19.06.sh をダウンロードします。
      curl https://software.apigee.com/bootstrap_4.19.01.sh -o /tmp/bootstrap_4.19.01.sh 
  2. ロールバックするコンポーネントを停止します。
    1. ノード上の共通のコードを使用するコンポーネントをロールバックする場合は、次の例に示すように、それらすべてのコンポーネントを停止する必要があります。
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-management-server stop
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-router stop
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-message-processor stop
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-qpid-server stop
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-postgres-server stop
    2. ノード上のそれ以外のコンポーネントをロールバックする場合は、そのコンポーネントのみを停止します。
      • /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service component stop
  3. Monetization をロールバックする場合は、すべての Management Server ノードと Message Processor ノードから Monetization をアンインストールします。
    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-mint-gateway uninstall
  4. ロールバックするコンポーネントをノードからアンインストールします。
    1. ノード上の共通のコードを使用するコンポーネントをロールバックする場合、次の例に示すように、edge-gateway コンポーネント グループをアンインストールして、それらすべてのコンポーネントをアンインストールする必要があります。
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-gateway uninstall
    2. ノード上のそれ以外のコンポーネントをロールバックする場合は、そのコンポーネントのみをアンインストールします。次の例をご覧ください。
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service component uninstall

      ここで、component はコンポーネント名です。

    3. Edge Router をロールバックする場合、edge-gateway コンポーネント グループをアンインストールするだけでなく、/opt/nginx/conf.d ファイルの内容を削除する必要もあります。
      cd /opt/nginx/conf.d
      rm -rf *
  5. 4.51.00 バージョンの apigee-setup をアンインストールします。
    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service apigee-setup uninstall
  6. 4.19.06 または 4.50.00 バージョンの apigee-service ユーティリティとその依存関係をインストールします。次の例では、4.50.00 バージョンの apigee-service をインストールします。
    sudo bash /tmp/bootstrap_4.50.00.sh apigeeuser=uName apigeepassword=pWord

    ここで、uNamepWord は Apigee から取得したユーザー名とパスワードです。pWord を省略すると、パスワードの入力を求められます。

    エラーが発生した場合は、手順 1 で bootstrap.sh ファイルをダウンロードしたことを確認してください。

  7. apigee-setup をインストールします。
    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service apigee-setup install
  8. 古いバージョンのコンポーネントをインストールします。
    /opt/apigee/apigee-setup/bin/setup.sh -p component -f configFile

    ここで、component はインストールするコンポーネント、configFile は古いバージョンの構成ファイルです。

  9. Qpid をロールバックしている場合は、iptables を消去します。
    sudo iptables -F
  10. ロールバックするコンポーネントをホストしているノードのそれぞれで、上記のプロセスを繰り返します。

前の更新バージョンへのロールバック

同じリリースの特定のバージョンにコンポーネントをロールバックするには、該当するコンポーネントをホストしている各ノード上で、次の手順を行います。

  1. 該当するバージョンのコンポーネントをダウンロードします。
    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service component_version install

    ここで、component_version はインストールするコンポーネントと更新バージョンです。例:

    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-ui-4.18.05-0.0.3749 install

    Apigee オンライン リポジトリを使用している場合、次のコマンドを使用して、コンポーネントの利用可能なバージョンを確認できます。

    yum --showduplicates list comp

    次に例を示します。

    yum --showduplicates list edge-ui
  2. apigee-setup を使用してコンポーネントをインストールします。
    /opt/apigee/apigee-setup/bin/setup.sh -p comp -f configFile

    次に例を示します。

    /opt/apigee/apigee-setup/bin/setup.sh -p ui -f configFile

    コンポーネントをインストールする際は、コンポーネント名のみを指定し、バージョンは指定しないことにご注意ください。

  3. ロールバックするコンポーネントをホストしているノードのそれぞれで、上記のプロセスを繰り返します。

Postgres 10.17 更新のロールバック

4.19.06 または 4.50.00 から 4.51.00 にアップグレードした場合、Edge コンポーネントだけでなく Postgres 更新もロールバックする必要があります。

マスター / スタンバイ構成で Postgres を更新している場合は、次の手順に沿って Postgres 更新をロールバックします。

  • 新しいスタンバイ ノードを Postgres マスターに昇格させます。新しい Postgres マスターのバージョンは、前の Edge インストール環境でのバージョンと同じです。
  • 旧スタンバイ ノードを構成して、新しいマスターのスタンバイ ノードにします。旧スタンバイ ノードのバージョンは、前の Edge インストール環境でのバージョンと同じです。
  • 新しいマスターノードとスタンバイ ノードをアナリティクス グループとコンシューマ グループに登録します。

ロールバックが完了した後、旧マスターノードは不要になります。したがって、旧マスターノードを廃止できます。

  1. 新しいスタンバイ Postgres ノードが稼働していることを確認します。
    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-all status

    Postgres が実行されていない場合は、起動します。

    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-all start
  2. 旧マスターノードと旧スタンバイ ノード上で Postgres が停止していることを確認します。
    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-all status

    Postgres が実行中の場合は、停止します。

    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-postgres-server stop > /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service apigee-postgresql stop

  3. Qpid がインストールされている場合は、旧スタンバイ ノードで Qpid を起動します。
    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-qpid-server start
  4. 新しいスタンバイ ノードを Postgres マスターとして昇格させます。
    1. 新しいスタンバイ ノードを新しいマスターに昇格させます。
      apigee-service apigee-postgresql promote-standby-to-master new_standby_IP

      プロンプトが表示されたら、「apigee」ユーザーの Postgres パスワードを入力します。デフォルトのパスワードは「postgres」です。

    2. 現在のバージョンの Edge をインストールする際に使用した構成ファイルを編集し、次の内容を指定します。
      # IP address of the new master:
      PG_MASTER=new_standby_IP
      # IP address of the old standby node
      PG_STANDBY=old_standby_IP
    3. 新しいマスターを構成します。
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service apigee-postgresql setup-replication-on-master -f configFile
  5. 古いスタンバイ ノードを新しいバージョンにアップグレードしている場合は、まず古いスタンバイ ノードの Apigee ソフトウェアをダウングレードする必要があります。古いスタンバイノードに古いバージョンがまだある場合は、この手順をスキップしてステップ 6 に進みます。
    1. 旧スタンバイ ノードで Postgres を停止します。
      apigee-service apigee-postgresql stop
      apigee-service edge-postgres-server stop
    2. 古いスタンバイ ノードから Postgres をアンインストールします。
      apigee-service apigee-postgresql uninstall
      apigee-service edge-postgres-server uninstall
    3. 古いスタンバイ ノードから Postgres データ ディレクトリを削除します。
      cd /opt/apigee/data/apigee-postgresql/pgdata > rm -rf *
    4. 古いバージョンのブートストラップ(ロールバック先の Apigee バージョン用)を古いスタンバイノードにダウンロードして実行します。具体的な手順は、インターネットベースのインストールとオフライン インストールのどちらを使用するかによって異なります。古いバージョンの Apigee ブートストラップを実行すると、古いバージョンの Apigee データを使用して yum リポジトリが設定されます。
    5. 旧スタンバイ ノードで Postgres コンポーネントを設定します。
      /opt/apigee/apigee-setup/bin/setup.sh -p ps -f configFile
    6. 旧スタンバイ ノードの Postgres コンポーネントが古いバージョン(
      apigee-service apigee-postgresql version
      apigee-service edge-postgres-server version
      )にロールバックされていることを確認します。
  6. 旧スタンバイ ノードを再ビルドします。
    1. 現在のバージョンの Edge をインストールする際に使用した構成ファイルを編集し、次の内容を指定します。
      # IP address of the new master:
      PG_MASTER=new_standby_IP
      # IP address of the old standby node
      PG_STANDBY=old_standby_IP
    2. 旧スタンバイ ノードからデータ ディレクトリを削除します。
      cd /opt/apigee/data/apigee-postgresql/pgdata > rm -rf *
    3. 旧スタンバイ ノードを再構成して、新しいマスターのスタンバイ ノードにします。
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service apigee-postgresql setup-replication-on-standby -f configFile
    4. 旧スタンバイ ノード上で Postgres が稼働していることを確認します。
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-all status

      Postgres が実行されていない場合は、起動します。

      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-postgres-server start
  7. 新しいマスターの /opt/apigee/apigee-postgresql/conf/pg_hba.conf ファイルを表示して、新しいスタンバイ ノードが追加されたことを確認します。
  8. Management Server で次のコマンドを実行して、現在のアナリティクス グループとコンシューマ グループを表示します。
    curl -u sysAdminEmail:password http://ms_IP:8080/v1/analytics/groups/ax

    このコマンドの出力結果から、分析グループの名前(name フィールド)とコンシューマ グループの名前(consumer-groupsname フィールド)がわかります。また、旧 Postgres マスターノードと旧 Postgres スタンバイ ノードの UUID を、postgres-server フィールドと datastores フィールドに返します。出力は次のようになります。

    {
      "name" : "axgroup-001",
      "properties" : {
      },
      "scopes" : [ "VALIDATE~test", "sgilson~prod" ],
      "uuids" : {
        "qpid-server" : [ "8381a053-433f-4382-bd2a-100fd37a1592", "4b6856ec-ef05-498f-bac6-ef5f0d5f6521" ],
        "postgres-server" : [
          "ab1158bd-1d59-4e2a-9c95-24cc2cfa6edc:27f90844-efab-4b32-8a23-8f85cdc9a256"
        ]
      },
      "consumer-groups" : [ {
        "name" : "consumer-group-001",
        "consumers" : [ "8381a053-433f-4382-bd2a-100fd37a1592", "4b6856ec-ef05-498f-bac6-ef5f0d5f6521" ],
        "datastores" :
          [ "ab1158bd-1d59-4e2a-9c95-24cc2cfa6edc:27f90844-efab-4b32-8a23-8f85cdc9a256" ],
          "properties" : {     }
        }
      ],
      "data-processors" : {
      }
    }

  9. 旧マスターノードで次の curl コマンドを実行して、旧マスターの UUID アドレスを取得します。
    curl -u sysAdminEmail:password http://node_IP:8084/v1/servers/self

    出力結果の最後の行に、次の形式でノードの UUID が表示されます。

    "type" : [ "postgres-server" ],
    "uUID" : "599e8ebf-5d69-4ae4-aa71-154970a8ec75"
  10. 上記のステップを繰り返して、旧スタンバイ ノードと新しいマスターノードの IP アドレスを取得します。
  11. 旧マスターノードと旧スタンバイ ノードをコンシューマ グループから削除します。
    curl -u sysAdminEmail:password -X DELETE \
      "http://ms_IP:8080/v1/analytics/groups/ax/axgroup-001/consumer-groups/consumer-group-001/datastores/masterUUID,standbyUUID" -v

    ここで、axgroup-001consumer-group-001 は、分析グループとコンシューマ グループのデフォルト名です。masterUUID,standbyUUID は、上記の現在の分析グループとコンシューマ グループの情報を表示したときと同じ順序で表示されます。場合によっては standbyUUID,masterUUID として指定する必要があります。

    この時点で、consumer-groupsdatastores プロパティは空です。

  12. 旧マスターノードと旧スタンバイ ノードを分析グループから削除します。
    curl -u sysAdminEmail:password -X DELETE \
      "http://ms_IP:8080/v1/analytics/groups/ax/axgroup-001/servers?uuid=masterUUID,standbyUUID&type=postgres-server" -v

    この時点で、uuidspostgres-server プロパティは空です。

  13. 新しい PG マスターノードと PG スタンバイ ノードを分析グループとコンシューマ グループに登録します。
    curl -u sysAdminEmail:password -X POST -H "Content-Type: application/json" -d ''
      "http://ms_IP:8080/v1/analytics/groups/ax/axgroup-001/servers?uuid=masterUUID,standbyUUID&type=postgres-server" -v
    curl -u sysAdminEmail:password -X POST -H "Content-Type:application/json" -d ''
      "http://ms_IP:8080/v1/analytics/groups/ax/axgroup-001/consumer-groups/consumer-group-001/datastores?uuid=masterUUID,standbyUUID" -v
  14. 分析グループを確認します。
    curl -u sysAdminEmail:password http://ms_IP:8080/v1/analytics/groups/ax

    分析グループとコンシューマ グループに、新しいマスターノードとスタンバイ ノードの UUID がリストされるはずです。

  15. Edge Management Server を再起動します。
    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-management-server restart
  16. すべての Qpid サーバーを再起動します。
    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-qpid-server restart
  17. すべての Postgres サーバーを再起動します。
    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-postgres-server restart
  18. 両方のサーバーで、次のスクリプトを実行してレプリケーション ステータスを確認します。両方のサーバーで同じ結果が表示された場合、レプリケーションは成功しています。

    新しいマスターで次のスクリプトを実行します。

    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service apigee-postgresql postgres-check-master

    マスターであることを確認します。旧スタンバイ ノードで次のスクリプトを実行します。

    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service apigee-postgresql postgres-check-standby

    スタンバイであることを確認します。

  19. いくつかの API リクエストを実行してノードが同期していることを確認してから、前のステップを繰り返します。
  20. Apigee Edge 4.16.01/4.16.05 から 4.17.09 への更新の手順に沿って、旧 Postgres マスターを廃止します。

    または、旧マスターノードから Qpid をアンインストールし、新しいマスターノードに Qpid をインストールすることもできます。Qpid をインストールした後、旧マスターノードを廃止できます。

mTLS をロールバックする

mTLS 更新をロールバックするには、すべてのホストで次の手順を行います。

  1. Apigee を停止します。
    apigee-all stop
  2. mTLS を停止します。
    apigee-service apigee-mtls uninstall
  3. mTLS を再インストールします。
    apigee-service apigee-mtls install
    apigee-service apigee-mtls setup -f /opt/silent.conf