tar ベースのポータルを RPM ベースのポータルに変換する

Edge for Private Cloud v4.18.05

4.18.05 リリースの Apigee Developer Services ポータル(「ポータル」)では以前の tar ベースのポータルを更新することはできません。RPM ベースのポータルを直接 4.18.05 に更新する方法しかありません。

ただし、tar ベースのポータルを 4.18.05 の RPM ベースのポータル インスタンスに変換することは可能です。この変換プロセスの一環として、既存のポータルの MySQL / MariaDB を Postgres データベースに移行します。変換したポータルは RPM ベースのポータルとして維持されます。

tar ベースのポータルは、4.17.05 だけでなく 4.16.09 や 4.17.01 など、多数の旧バージョンを RPM ベースのポータルに移行できます。唯一の要件は、そのポータルで Drupal 7 以降が実行されていることです。Drupal のバージョンを確認するには、Drupal のメニューで [Reports] > [Status Reports] の順に選択します。Drupal のバージョンは出力の先頭行に表示されます。

以下に、tar ベースのポータルを RPM ベースのポータルに移行するための手順を簡単に紹介します。

  • RPM ベースの 4.18.05 バージョンのポータルを新しいノードにインストールします。
  • RPM ベースのポータル上に新しい Postgres データベースを作成します。
  • tar ベースのポータルからポータル データベースを移行します。
  • すべての付属ファイルを tar ベースのポータルから RPM ベースのポータルにコピーします。
  • DNS エントリを更新して新しい RPM ベースのポータルを指すようにします。

    デフォルトでは、RPM ベースのポータルはポート 8079 を使用するのに対し、tar ベースのポータルはポート 80 を使用します。DNS エントリで必ず正しいポート番号を使用してください。別のポートを使用する場合は、ポータルで使用される HTTP ポートの設定をご覧ください。

変換後の新しいデフォルト インストール ディレクトリ

インストール済みのポータルを更新して Nginx / Postgres を使用するように変更すると、ルート ディレクトリも変わります。変更前のディレクトリは以下のとおりです。

/opt/apigee/apigee-drupal

変更後のディレクトリは以下となります。

/opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot

ポータル変換手順

ポータルを RPM ベースのポータルに変換する手順は次のとおりです。

  1. RPM ベースの 4.18.05 バージョンのポータルを tar ベースのポータルとは異なるノードにインストールします。
  2. RPM ベースのポータル上に新しい Postgres データベースを作成します。後で、この新しいデータベースに tar ベースのポータルからデータベースを移行します。
    1. psql にログインします。
      psql -h localhost -p 5432 -U apigee

      ポータル構成ファイルの PG_PWD プロパティで定義された Postgres パスワードを入力します。

    2. 新しい Postgres データベースを作成します。
      CREATE DATABASE newportaldb;
    3. psql を終了します。
      \q
  3. tar ベースのポータル上で、不要になった古いモジュールを削除します。

    cd /var/www/html
        drush sql-query --db-prefix "DELETE from {system} where name = 'apigee_account' AND type = 'module';"
        drush sql-query --db-prefix "DELETE from {system} where name = 'apigee_checklist' AND type = 'module';"
        drush sql-query --db-prefix "DELETE from {system} where name = 'apigee_sso_ui' AND type = 'module';"
  4. tar ベースのポータル上で、Migrator Drupal モジュールをインストールして構成します。
    1. cd /tmp 
    2. wget https://ftp.drupal.org/files/projects/dbtng_migrator-7.x-1.4.tar.gz 
    3. gunzip /tmp/dbtng_migrator-7.x-1.4.tar.gz 
    4. tar -xvf /tmp/dbtng_migrator-7.x-1.4.tar --directory /var/www/html/sites/all/modules 
    5. 管理者としてポータルにログインします。
    6. Drupal のメニューで、[Modules] を選択します。
    7. DBTNG Migrator モジュールを有効にします。
    8. 構成を保存します。
  5. tar ベースのポータル上/var/www/html/sites/default/settings.php を編集して、RPM ベースのポータルで新たに作成したデータベースをポイントする第 2 のデータベース構成を追加します。現在のデータベース構成の名前は「default」です。新しい構成は「custom」という名前にします。次の例をご覧ください。
    $databases = array (
          'default' =>
          array (
            'default' =>
            array (
              'database' => 'devportal',
              'username' => 'devportal',
              'password' => 'devportal',
              'host' => 'localhost',
              'port' => '',
              'driver' => 'mysql',
              'prefix' => '',
            ),
          ),
          'custom' =>
          array (
            'default' =>
            array (
              'database' => 'newportaldb',
              'username' => 'apigee',
              'password' => 'postgres',
              'host' => '192.168.168.100',
              'port' => '5432',
              'driver' => 'pgsql',
              'prefix' => '',
            )
          )
        );

    hostport は Postgres サーバーの IP アドレスとポートを示しています。Postgres ではポート 5432 が接続に使用されます。

  6. tar ベースのポータル上に Postgres ドライバをインストールします。
    1. Yum を使用してドライバをインストールします。
      yum install php-pdo_pgsql
    2. /etc/php.ini を編集して、このファイルの任意の場所に次の行を追加します。
      extension=pgsql.so
    3. Apache を再起動します。
      service httpd restart
  7. tar ベースのポータル上のポータル データベースを RPM ベースのポータルに移行します。
    1. 管理者としてポータルにログインします。
    2. Drupal のメニューで [Structure] -> [Migrator] の順に選択します。
    3. tar ベースのポータル上の移行元データベース default と、上記に示した settings.php ファイルに基づく移行先データベース custom を選択します。
    4. [Migrate] をクリックします。tar ベースのデータベースが RPM ベースのデータベースに移行されます。
  8. tar ベースのサーバーの sites ディレクトリを RPM ベースのサーバーにコピーします。以下の手順に示すパスはデフォルトのパスに基づいています。ご使用の環境に合わせてパスを変更してください。
    1. tar ベースのポータルで、/var/www/html/sites ディレクトリをバンドルします。
      cd /var/www/html/sites
          tar -cvzf /tmp/sites.tar.gz .
    2. /tmp/sites.tar.gz を RPM ベースのサーバー上の /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites にコピーします。
    3. sites ディレクトリのバンドルを解除します。ただし、重要なファイルは上書きしないでください。
      1. settings.php ファイルをバックアップします。
        sudo cp /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites/default/settings.php
              /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites/default/settings.bak.php
      2. 既存の files ディレクトリをバックアップします。
        sudo mv /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites/default/files
              /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites/default/files_old
      3. 既存の sites ディレクトリをバックアップします。
        tar -cvzf /tmp/sites_old.tar.gz /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites
      4. tar ベースのサーバーの sites ディレクトリを解凍します。
        gunzip /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites/sites.tar.gz
            tar -xvf /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites/sites.tar
      5. コピーしたファイルに適切な所有権が設定されていることを確認します。
        chown -R apigee:apigee /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites/
      6. settings.php ファイルを復元します。
        sudo cp /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites/default/settings.bak.php
              /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites/default/settings.php
      7. 非公開ファイルを新しい場所に移動します。
        cp -r /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites/default/files/private/* /opt/apigee/data/apigee-drupal-devportal/private
            rm -rf /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites/default/files/private
            chown -R apigee:apigee /opt/apigee/data/apigee-sap-drupal-devportal/private
  9. tar ベースのポータル上で、(tar ベースのポータル上のウェブルート ディレクトリへのパスをデフォルトパス /var/www/html 以外に変更した場合のみ)drush status を実行して、files パスと private files パスを確認します。
    cd /var/www/html
        drush status

    ファイル / 非公開ファイルが sites ディレクトリにない場合は、上記のように RPM ベースのサーバーにコピーします。

  10. RPM ベースのポータル上で、/opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites/default/settings.php を更新してデフォルト データベースのプロパティを設定します。
    vi /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot/sites/default/settings.php

    settings.php にデフォルト データベースの説明を設定します。

    $databases = array (
          'default' =>
          array (
            'default' =>
            array (
              'database' => 'newportaldb',
              'username' => 'apigee',
              'password' => 'postgres',
              'host' => 'localhost', 'port' => '5432',
              'driver' => 'pgsql',
              'prefix' => '',
            )
          )
        );

    database は新たに作成したデータベースを示し、usernamepassword は tar ベースのポータル上のカスタム データベース用に定義されたものです。prefix は空です。

  11. RPM ベースのポータル上では、RPM ベースのポータルに含まれる Drupal モジュールの数は tar ベースのポータルより少なくなります。RPM ベースのポータルに移行したら、足りないモジュールがあるか確認し、必要に応じてそのモジュールをインストールします。
    1. 足りないモジュールの検出に使用する Drupal の missing_module をインストールします。
      cd /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot
          drush dl missing_module
          drush en missing_module
    2. 管理者として RPM ベースのポータルにログインします。
    3. Drupal のメニューで [Reports] > [Status reports] の順に選択し、足りないモジュールがあるか確認します。
    4. 上記のレポートを確認して足りないモジュールをインストールするか、次のコマンドを実行します。
      cd /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot
          drush dl <moduleA> <moduleB> ...
          drush en <moduleA> <moduleB> ...
    5. すべてのモジュールを有効にしたら、ファイルのオーナーが Apigee ユーザーであることを確認します。
      chown -LR apigee:apigee /opt/apigee/apigee-drupal/wwwroot

      ファイルの権限の詳細については、https://www.drupal.org/node/244924 をご覧ください。

  12. RPM ベースのポータルで、update.php をブラウザ内で実行し、足りないモジュールに関するエラーを削除します。
    1. 管理者として RPM ベースのポータルにログインします。
    2. ブラウザで次の URL に移動します。
      http://portal_IP_or_DNS:8079/update.php

      portal_IP_or_DNS は RPM ベースのポータルの IP アドレスまたはドメイン名です。

    3. 画面の指示に従います。
  13. DNS エントリを更新して、新しい RPM ベースのポータルをポイントするようにします。

    デフォルトでは、RPM ベースのポータルはポート 8079 を使用するのに対し、tar ベースのポータルはポート 80 を使用します。DNS エントリで必ず正しいポート番号を使用してください。別のポートを使用する場合は、ポータルで使用される HTTP ポートの設定をご覧ください。

これで変換は完了です。