Edge のパスワードをリセットする

インストールが完了した後、次のパスワードをリセットできます。

以降のセクションで、これらの各パスワードをリセットする手順を説明します。

OpenLDAP のパスワードのリセット

OpenLDAP のパスワードをリセットする方法は、構成によって異なります。Edge の構成に応じて、OpenLDAP は次のようにインストールできます。

  • Management Server ノードに、OpenLDAP のインスタンスを 1 つインストールする。たとえば、2 ノード、5 ノード、あるいは 9 ノードの Edge 構成の場合。
  • OpenLDAP レプリケーションを構成して、複数の Management Server に複数の OpenLDAP インスタンスをインストールする。たとえば、12 ノードの Edge 構成の場合。
  • OpenLDAP レプリケーションを構成して、複数の OpenLDAP インスタンスをそれぞれ専用のノードにインストールする。たとえば、13 ノードの Edge 構成の場合。

Management Server に OpenLDAP のインスタンスを 1 つインストールした場合は、以下の手順です。

  1. Management Server ノードで次のコマンドを実行して、OpenLDAP の新しいパスワードを作成します。
    /opt/apigee/apigee‑service/bin/apigee‑service apigee‑openldap \
      change‑ldap‑password ‑o OLD_PASSWORD ‑n NEW_PASSWORD
  2. Management Server からアクセスできるように、次のコマンドを実行して新しいパスワードを保存します。
    /opt/apigee/apigee‑service/bin/apigee‑service edge‑management‑server \
      store_ldap_credentials ‑p NEW_PASSWORD

    このコマンドは Management Server を再起動します。

Management Server ノードにインストールした OpenLDAP で OpenLDAP レプリケーションを構成する場合は、上記の手順を両方の Management Server ノードで行ってパスワードを更新します。

Management Server 以外のノードにある OpenLDAP で OpenLDAP レプリケーションを構成する場合は、まず両方の OpenLDAP ノードでパスワードを変更してから、次に両方の Management Server ノードでパスワードを変更します。

システム管理者パスワードのリセット

システム管理者パスワードをリセットするには、以下の 2 か所でパスワードをリセットする必要があります。

  • Management Server
  • UI

システム管理者パスワードをリセットするには:

  1. Edge UI のインストールに使ったサイレント構成ファイルを編集し、以下のプロパティを設定します。
    APIGEE_ADMINPW=NEW_PASSWORD
    SMTPHOST=smtp.gmail.com
    SMTPPORT=465
    SMTPUSER=foo@gmail.com
    SMTPPASSWORD=bar
    SMTPSSL=y
    SMTPMAILFROM="My Company <myco@company.com>"

    UI のすべてのプロパティがリセットされるため、新しいパスワードを渡すときに SMTP のプロパティも渡す必要があります。

  2. UI ノードで Edge UI を停止します。
    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-ui stop
  3. apigee-setup ユーティリティを使用して、構成ファイルから Edge UI 上のパスワードを再設定します。
    /opt/apigee/apigee-setup/bin/setup.sh -p ui -f configFile
  4. (UI で TLS を有効にしている場合のみ)管理 UI の TLS の構成の説明に従って、Edge UI で TLS を再度有効にします。
  5. Management Server で新しい XML ファイルを作成します。このファイルでユーザー ID を "admin" に設定し、パスワード、姓、名、メールアドレスを次の形式で定義します。
    <User id="admin">
      <Password><![CDATA[password]]></Password>
      <FirstName>first_name</FirstName>
      <LastName>last_name</LastName>
      <EmailId>email_address</EmailId>
    </User>
  6. Management Server で次のコマンドを実行します。
    curl -u "admin_email_address:admin_password" -H \
    "Content-Type: application/xml" -H "Accept: application/json" -X POST \
    "http://localhost:8080/v1/users/admin_email_address" -d @your_data_file
    

    ここで、your_data_file は前の手順で作成したファイルです。

    このコマンドを実行すると、Management Server で管理者パスワードが更新されます。

  7. 作成した XML ファイルを削除します。平文テキストのパスワードを恒久的に保存しないでください。

複数の Management Server で OpenLDAP レプリケーションを構成している環境では、1 つの Management Server でパスワードをリセットすると、他の Management Server でも自動的にパスワードが更新されます。ただし、別途すべての Edge UI ノードを更新する必要があります。

組織ユーザーのパスワードのリセット

組織ユーザーのパスワードをリセットするには、次の例のように、apigee-servce ユーティリティを使用して apigee-setup を呼び出します。

/opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service apigee-setup reset_user_password
  [-h]
  [-u USER_EMAIL]
  [-p USER_PWD]
  [-a ADMIN_EMAIL]
  [-P APIGEE_ADMINPW]
  [-f configFile]

例:

/opt/apigee/apigee‑service/bin/apigee‑service apigee‑setup reset_user_password
  ‑u user@myCo.com ‑p Foo12345 ‑a admin@myCo.com ‑P adminPword
cp ~/Documents/tmp/hybrid_root/apigeectl_beta2_a00ae58_linux_64/README.md
  ~/Documents/utilities/README.md

次は、「-f」オプションで使用できる構成ファイルの例です。

USER_NAME=user@myCo.com
USER_PWD="Foo12345"
APIGEE_ADMINPW=ADMIN_PASSWORD

ユーザーの更新 API を使用してユーザーのパスワードを変更することもできます。

システム管理者と組織ユーザーのパスワード ルール

このセクションでは、API 管理ユーザーのパスワードの長さと強度のレベルを設定します。この設定では、パスワードの内容(大文字、小文字、数字、特殊文字など)をチェックするために、事前構成された一連の(一意な番号が付いた)正規表現を使います。これらの設定を /opt/apigee/customer/application/management-server.properties ファイルに書き込みます。ファイルが存在しない場合は作成します。

management-server.properties を編集したら、Management Server を再起動します。

/opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-management-server restart

次に、さまざまな正規表現の組み合わせをグループ化して、パスワード強度のランクを設定できます。たとえば、大文字と小文字がそれぞれ 1 つ以上のパスワードは強度ランク「3」、小文字が 1 つ以上で、数字が 1 つ以上のパスワードは強度ランク「4」と決めることができます。

プロパティ 説明

conf_security_password.validation.minimum.password.length=8
conf_security_password.validation.default.rating=2
conf_security_password.validation.minimum.rating.required=3

有効なパスワードの全般的な特性を決めます。パスワード強度の最低ランクのデフォルト(この表の後半で説明)は 3 です。

password.validation.default.rating=2 は、必要とされる最低ランクより低くなっています。これは、入力したパスワードが構成したルールに沿わない場合、パスワードのランクは 2 となり、無効となる(最低ランクの 3 未満)という意味です。

以下の正規表現でパスワードの特性を決めます。それぞれの正規表現に番号が付いていることに注意してください。たとえば、password.validation.regex.5=... の正規表現番号は 5 です。この番号は、このファイルの後のセクションで全般的なパスワード強度を決めるさまざまな組み合わせを設定するために使用します。


conf_security_password.validation.regex.1=^(.)\\1+$

1: 同じ文字だけの繰り返し


conf_security_password.validation.regex.2=^.*[a-z]+.*$

2: 小文字が 1 つ以上


conf_security_password.validation.regex.3=^.*[A-Z]+.*$

3: 大文字が 1 つ以上


conf_security_password.validation.regex.4=^.*[0-9]+.*$

4: 数字が 1 つ以上


conf_security_password.validation.regex.5=^.*[^a-zA-z0-9]+.*$

5: 特殊文字が 1 つ以上(アンダースコア _ は含まず)


conf_security_password.validation.regex.6=^.*[_]+.*$

6: アンダースコアが 1 つ以上


conf_security_password.validation.regex.7=^.*[a-z]{2,}.*$

7: 小文字が 2 つ以上


conf_security_password.validation.regex.8=^.*[A-Z]{2,}.*$

8: 大文字が 2 つ以上


conf_security_password.validation.regex.9=^.*[0-9]{2,}.*$

9: 数字が 2 つ以上


conf_security_password.validation.regex.10=^.*[^a-zA-z0-9]{2,}.*$

10: 特殊文字が 2 つ以上(アンダースコアは含まず)


conf_security_password.validation.regex.11=^.*[_]{2,}.*$

11: アンダースコアが 2 つ以上

以下のルールでは、パスワードの内容に基づいてパスワード強度を決定します。各ルールには、前のセクションの正規表現が 1 つ以上含まれ、強度の値が割り当てられます。パスワード強度の値が、このファイルの先頭の conf_security_password.validation.minimum.rating.required の値と比較され、パスワードが有効かどうかが決定されます。


conf_security_password.validation.rule.1=1,AND,0
conf_security_password.validation.rule.2=2,3,4,AND,4
conf_security_password.validation.rule.3=2,9,AND,4
conf_security_password.validation.rule.4=3,9,AND,4
conf_security_password.validation.rule.5=5,6,OR,4
conf_security_password.validation.rule.6=3,2,AND,3
conf_security_password.validation.rule.7=2,9,AND,3
conf_security_password.validation.rule.8=3,9,AND,3

各ルールには番号が付いています。たとえば、password.validation.rule.3=... のルール番号は 3 です。

各ルールでは次の形式を使用します(等号の右側)。


regex-index-list,[AND|OR],rating

regex-index-list は正規表現(前のセクションの番号で指定)を示します。AND|OR 演算子は、列挙されたすべての正規表現に一致する必要があるか、あるいはいずれか 1 つに一致すればよいかを示します。

rating は各ルールに与えられた数値による強度ランクです。

たとえば、ルール 5 は、1 つ以上の特殊文字あるいは 1 つ以上のアンダースコアを含むパスワードが、強度ランク 4 となることを意味します。ファイルの先頭に password.validation.minimum.rating.required=3 が付いている場合、ランク 4 のパスワードが有効です。


conf_security_rbac.password.validation.enabled=true

シングル サインオン(SSO)が有効な場合、ロールベース アクセス制御のパスワード検証が false に設定します。デフォルトは true です。

Cassandra のパスワードのリセット

Cassandra はデフォルトで認証が無効になっています。認証を有効にすると、あらかじめ定義されたユーザー名 cassandra とパスワード cassandra が使用されます。このアカウントを使用することも、このアカウントに異なるパスワードを設定することも、あるいは Cassandra の新しいユーザーを作成することもできます。ユーザーの追加、削除、変更には Cassandra の CREATE/ALTER/DROP USER 文を使用します。

Cassandra 認証を有効にする方法については、Cassandra 認証を有効にするをご覧ください。

Cassandra のパスワード リセットには、以下の操作が必要です。

  • いずれか 1 つの Cassandra ノードでパスワードを設定します。リング内のすべての Cassandra ノードにブロードキャストされます。
  • 各ノードの Management Server、Message Processor、Router、Qpid サーバー、Postgres サーバーで新しいパスワードに更新します。

詳細については、CQL コマンドをご覧ください。

以下の手順で Cassandra のパスワードをリセットします。

  1. cqlsh ツールとデフォルトの認証情報を使用していずれかの Cassandra にログインします。1 つの Cassandra ノードでパスワードを変更するだけで、リング内のすべての Cassandra ノードにブロードキャストされます。
    /opt/apigee/apigee-cassandra/bin/cqlsh cassIP 9042 -u cassandra -p 'cassandra'

    ここで

    • cassIP は Cassandra ノードの IP アドレスです。
    • 9042 は Cassandra のポートです。
    • デフォルトのユーザー名は cassandra です。
    • デフォルトのパスワードは「cassandra」です。以前にパスワードを変更した場合は、現在のパスワードを使います。パスワードに特殊文字が含まれている場合は、一重引用符で囲む必要があります。
  2. cqlsh> プロンプトとして次のコマンドを実行して、パスワードを更新します。
    ALTER USER cassandra WITH PASSWORD 'NEW_PASSWORD';

    新しいパスワードが一重引用符を含む場合、その前に一重引用符を加えてエスケープします。

  3. cqlsh ツールを終了します。
    exit
  4. Management Server ノードで、次のコマンドを実行します。
    /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-management-server store_cassandra_credentials -u CASS_USERNAME -p 'CASS_PASSWORD'

    必要に応じて、次のように新しいユーザー名とパスワードを含むファイルをコマンドに渡すこともできます。

    apigee-service edge-management-server store_cassandra_credentials -f configFile

    ここで、configFile には次の設定が含まれます。

    CASS_USERNAME=CASS_USERNAME
    CASS_PASSWORD='CASS_PASSWROD'

    このコマンドは、自動的に Management Server を再起動します。

  5. 以下について、ステップ 4 を繰り返します。
    • すべての Message Processor
    • すべての Router
    • すべての Qpid サーバー(edge-qpid-server)
    • Postgres サーバー(edge-postgres-server)

これで Cassandra のパスワードが変更されました。

PostgreSQL のパスワードのリセット

デフォルトでは、PostgreSQL データベースには postgresapigee の 2 つのユーザーが設定されています。どちらのユーザーも、デフォルトのパスワードは postgres です。以下の手順でデフォルトのパスワードを変更します。

Postgres のすべてのマスターノードでパスワードを変更します。マスター / スタンバイ モードで構成した 2 つの Postgres サーバーがある場合、パスワードを変更する必要があるのは、マスターノードだけです。詳細については、Postgres のマスター / スタンバイ レプリケーションを設定するをご覧ください。

  1. マスター Postgres ノードで /opt/apigee/apigee-postgresql/pgsql/bin ディレクトリに移動します。
  2. PostgreSQL ユーザー postgres のパスワードを設定します。
    1. 次のコマンドで、PostgreSQL データベースにログインします。
      psql -h localhost -d apigee -U postgres
    2. ユーザー postgres の既存のパスワードが要求されるので、postgres と入力します。
    3. PostgreSQL のコマンド プロンプトで次のコマンドを入力し、デフォルトのパスワードを変更します。
      ALTER USER postgres WITH PASSWORD 'new_password';

      成功したら、次のように出力されます。

      ALTER ROLE
    4. 次のコマンドを使用して PostgreSQL データベースを終了します。
      \q
  3. PostgreSQL ユーザー apigee のパスワードを設定します。
    1. 次のコマンドで、PostgreSQL データベースにログインします。
      psql -h localhost -d apigee -U apigee
    2. ユーザー apigee のパスワードが要求されるので、postgres と入力します。
    3. PostgreSQL のコマンド プロンプトで次のコマンドを入力し、デフォルトのパスワードを変更します。
      ALTER USER apigee WITH PASSWORD 'new_password';
    4. 次のコマンドで PostgreSQL データベースを終了します。
      \q

    ユーザー postgresapigee のパスワードは、同じパスワードにしても異なるパスワードにしてもどちらでもかまいません。

  4. APIGEE_HOME を次のように設定します。
    export APIGEE_HOME=/opt/apigee/edge-postgres-server
  5. 新しいパスワードを暗号化します。
    sh /opt/apigee/edge-analytics/utils/scripts/utilities/passwordgen.sh new_password

    このコマンドを実行すると、暗号化されたパスワードが返されます。暗号化されたパスワードは「:」の後から始まり、「:」自体は含まれません。たとえば、「apigee1234」の暗号化されたパスワードは次のようになります。

    Encrypted string:WheaR8U4OeMEM11erxA3Cw==
  6. Management Server ノードで、ユーザー postgresapigee のパスワードを新しい暗号化されたパスワードに更新します。
    1. Management Server で /opt/apigee/customer/application ディレクトリに移動します。
    2. management-server.properties ファイルを編集して次のプロパティを設定します。このファイルが存在しない場合は作成します。
    3. ファイルの所有者を apigee ユーザーにします。
      chown apigee:apigee management-server.properties
  7. すべての Postgres サーバーと Qpid サーバーのノードを新しい暗号化されたパスワードで更新します。
    1. Postgres Server ノードまたは Qpid Server ノードで、次のディレクトリに移動します。
      /opt/apigee/customer/application
    2. 次のファイルを編集のために開きます。
      • postgres-server.properties
      • qpid-server.properties

      これらのファイルが存在しない場合は作成します。

    3. 次のプロパティをファイルに追加します。
      • conf_pg-agent_password=newEncryptedPasswordForPostgresUser
      • conf_pg-ingest_password=newEncryptedPasswordForPostgresUser
      • conf_query-service_pgDefaultPwd=newEncryptedPasswordForPostgresUser
      • conf_query-service_dwDefaultPwd=newEncryptedPasswordForPostgresUser
      • conf_analytics_aries.pg.password=newEncryptedPasswordForPostgresUser
    4. ファイルの所有者を apigee ユーザーにします。
      chown apigee:apigee postgres-server.properties
      chown apigee:apigee qpid-server.properties
  8. SSO コンポーネントを更新します(SSO が有効になっている場合)。
    1. apigee-sso コンポーネントが実行されているノードに接続またはログインします。このノードは「SSO サーバー」とも呼ばれます。

      AIO または 3 ノード構成では、このノードは Management Server と同じノードです。

      複数のノードで apigee-sso コンポーネントを実行している場合は、各ノードで同じ手順を行う必要があります。

    2. 次のファイルを編集のために開きます。
      /opt/apigee/customer/application/sso.properties 

      ファイルが存在しない場合は作成します。

    3. 次の行をファイルに追加します。
      conf_uaa_database_password=new_password_in_plain_text

      例:

      conf_uaa_database_password=apigee1234
    4. 次のコマンドを実行して、構成の変更を apigee-sso コンポーネントに適用します。
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service apigee-sso configure
    5. 同じ手順を各 SSO サーバーで繰り返します。
  9. 次のコンポーネントを次の順に再起動します。
    1. PostgreSQL データベース:
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service apigee-postgresql restart
    2. Qpid サーバー:
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-qpid-server restart
    3. Postgres サーバー:
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-postgres-server restart
    4. Management Server:
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service edge-management-server restart
    5. SSO サーバー:
      /opt/apigee/apigee-service/bin/apigee-service apigee-sso restart