BasicAuthentication ポリシー

概要

ラストマイル セキュリティのために、簡易な Basic 認証を使用できます。このポリシーは、ユーザー名とパスワードを取得し、Base64 でエンコードして、生成された値を変数に書き込みます。生成された値の形式は Basic Base64EncodedString です。この値は一般に、HTTP ヘッダー(Authorization ヘッダーなど)に書き込まれます。

このポリシーでは、Base64 でエンコードされた文字列で保管された認証情報を、ユーザー名とパスワードにデコードすることもできます。

動画: この動画では、基本認証ポリシーを使用して、ユーザー名とパスワードを Base64 でエンコードする方法を実演しています。

動画: この動画では、基本認証ポリシーを使用して、Base64 でエンコードされたユーザー名とパスワードをデコードする方法を実演しています。

サンプル

送信時のエンコード

<BasicAuthentication name="ApplyBasicAuthHeader">
   <DisplayName>ApplyBasicAuthHeader</DisplayName>
   <Operation>Encode</Operation>
   <IgnoreUnresolvedVariables>false</IgnoreUnresolvedVariables>
   <User ref="BasicAuth.credentials.username" />
   <Password ref="BasicAuth.credentials.password" />
   <AssignTo createNew="false">request.header.Authorization</AssignTo>
</BasicAuthentication>

上記のサンプル ポリシー構成では、エンコードされるユーザー名とパスワードは、<User> 要素と <Password> 要素の ref 属性で指定された変数から取得されます。これらの変数はポリシーの実行前に設定されている必要があります。一般に、変数には Key-Value マップから読み取られた値が代入されます。Key Value Map Operations ポリシーをご覧ください。

この構成では、Authorization という名前の HTTP ヘッダーが <AssignTo> 要素で指定され、バックエンド サーバーに送信される送信リクエスト メッセージに追加されます。

Authorization: Basic TXlVc2VybmFtZTpNeVBhc3N3b3Jk

<User><Password> の値は、コロンで連結されてから Base64 でエンコードされます。

次のエントリを持つ Key-Value マップがあるとします。

{
  "encrypted" : true,
  "entry" : [ {
    "name" : "username",
    "value" : "MyUsername
  }, {
    "name" : "password",
    "value" : "MyPassword
  } ],
  "name" : "BasicAuthCredentials"
}
      

BasicAuthentication ポリシーの前に次の KeyValueMapOperations ポリシーを配置して、Key-Value ストアから <User> 要素と <Password> 要素の値を抽出し、変数 credentials.usernamecredentials.password に入力します。

<KeyValueMapOperations name="getCredentials" mapIdentifier="BasicAuthCredentials">
  <Scope>apiproxy</Scope>
  <Get assignTo="credentials.username" index='1'>
    <Key>
      <Parameter>username</Parameter>
    </Key>
  </Get>
  <Get assignTo="credentials.password" index='1'>
    <Key>
      <Parameter>password</Parameter>
    </Key>
  </Get>
</KeyValueMapOperations>
      

受信時のデコード

<BasicAuthentication name="DecodeBaseAuthHeaders">
   <DisplayName>Decode Basic Authentication Header</DisplayName>
   <Operation>Decode</Operation>
   <IgnoreUnresolvedVariables>false</IgnoreUnresolvedVariables>
   <User ref="request.header.username" />
   <Password ref="request.header.password" />
   <Source>request.header.Authorization</Source>
</BasicAuthentication>

このポリシー サンプルでは、Authorization HTTP ヘッダーのユーザー名とパスワードが <Source> 要素で指定されたとおりにデコードされます。Base64 でエンコードされた文字列は、Basic Base64EncodedString. という形式である必要があります。

このポリシーでは、デコードされたユーザー名は request.header.username 変数、デコードされたパスワードは request.header.password 変数にそれぞれ書き込まれます。


Basic Authentication ポリシーについて

このポリシーには次の 2 つの操作モードがあります。

  • エンコード: 変数に格納されているユーザー名とパスワードを Base64 でエンコードします。
  • デコード: Base64 でエンコードされた文字列からユーザー名とパスワードをデコードします。

一般に、ユーザー名とパスワードは Key-Value ストアに格納され、ランタイムにその Key-Value ストアから読み取られます。Key-Value ストアの使用について詳しくは、Key Value Map Operations ポリシーをご覧ください。

要素リファレンス

この要素リファレンスは、BasicAuthentication ポリシーの要素と属性について説明します。

<BasicAuthentication async="false" continueOnError="false" enabled="true" name="Basic-Authentication-1">
   <DisplayName>Basic Authentication 1</DisplayName>
   <Operation>Encode</Operation>
   <IgnoreUnresolvedVariables>false</IgnoreUnresolvedVariables>
   <User ref="request.queryparam.username" />
   <Password ref="request.queryparam.password" />
   <AssignTo createNew="false">request.header.Authorization</AssignTo>
   <Source>request.header.Authorization</Source>
</BasicAuthentication>

<BasicAuthentication> 属性

<BasicAuthentication async="false" continueOnError="false" enabled="true" name="Basic-Authentication-1">

次の表に、すべてのポリシーの親要素に共通する属性を示します。

属性 説明 デフォルト 要否
name

ポリシーの内部名。name 属性の値には、英字、数字、スペース、ハイフン、アンダースコア、ピリオドを使用できます。この値は 255 文字を超えることはできません。

管理 UI プロキシ エディタで <DisplayName> 要素を追加して、ポリシーのラベルに使用する別の自然言語名を指定することもできます。

なし 必須
continueOnError

ポリシーが失敗した場合にエラーを返すには、false に設定します。これは、ほとんどのポリシーで想定される動作です。

ポリシーが失敗した後もフローの実行を続行する場合は、true に設定します。

false 省略可
enabled

ポリシーを適用するには、true に設定します。

ポリシーを無効にするには、false に設定します。ポリシーがフローに接続されている場合でも適用されません。

true 省略可
async

この属性は非推奨となりました。

false 非推奨

<DisplayName> 要素

管理 UI プロキシ エディタで name 属性と一緒に使用して、ポリシーのラベルに使用する自然言語名を指定します。

<DisplayName>Policy Display Name</DisplayName>
デフォルト

なし

この要素を省略した場合、ポリシーの name 属性の値が使用されます。

要否 省略可
タイプ 文字列

<Operation> 要素

認証情報を Base64 エンコードまたは Base64 デコードするかどうかを指定します。

<Operation>Encode</Operation>
デフォルト: なし
要否: 必須
型:

文字列

有効な値は次のとおりです。

  • Encode
  • Decode

<IgnoreUnresolvedVariables> 要素

true に設定すると、変数を解決できない場合でもポリシーはエラーを返しません。BasicAuthentication ポリシーのコンテキストで使用される場合、この値は通常、指定された変数にユーザー名またはパスワードが格納されていない場合にエラーを返すために、false に設定されます。

<IgnoreUnresolvedVariables>false</IgnoreUnresolvedVariables>
デフォルト: true
要否: 省略可
型:

ブール値

<User> 要素

  • エンコードの場合は、<User> 要素を使用してユーザー名を含む変数を指定します。ユーザー名とパスワードの値は、コロンで連結されてから、Base64 でエンコードされます。
  • デコードの場合は、デコードされたユーザー名が書き込まれる変数を指定します。
<User ref="request.queryparam.username" />
デフォルト: なし
要否: 必須
型:

なし

属性

属性 説明 デフォルト 要否
ref

ポリシーが動的にユーザー名を読み取る(エンコードの場合)またはユーザー名を書き込む(デコードの場合)変数。

なし 必須

<Password> 要素

  • エンコードの場合は、<Password> 要素を使用してパスワードを含む変数を指定します。
  • デコードの場合は、デコードされたパスワードが書き込まれる変数を指定します。
<Password ref="request.queryparam.password" />
デフォルト: なし
要否: 必須
型:

なし

属性

属性 説明 デフォルト 要否
ref

ポリシーが動的にパスワードを読み取る(エンコードの場合)またはパスワードを書き込む(デコードの場合)変数。

なし 必須

<AssignTo> 要素

このポリシーで生成されたエンコード値またはデコード値を設定する際のターゲットの変数を指定します。

次の例は、ポリシーによってメッセージの Authorization ヘッダーが生成された値に設定されることを示しています。

<AssignTo createNew="false">request.header.Authorization</AssignTo>
デフォルト: なし
要否: 必須
型:

文字列

属性

属性 説明 デフォルト 要否
createNew 変数がすでに設定されている場合に、その変数を上書きするかどうかを指定します。

「false」の場合、変数への割り当ては、変数が現在設定されていない(値が NULL)場合にのみ行われます。

「true」の場合は常に変数の割り当てが行われます。

通常、この値は「false」(デフォルト)に設定します。

false 省略可

<Source> 要素

デコードの場合は、Base64 でエンコードされた文字列を含む変数(Basic Base64EncodedString)。たとえば、Authorization ヘッダーに対応して request.header.Authorization を指定します。

<Source>request.header.Authorization</Source>
デフォルト: なし
要否: デコード操作の場合は必須。
型:

なし

フロー変数

ポリシーが失敗した場合は、次のフロー変数が設定されます。

  • BasicAuthentication.{policy_name}.failed(値は true)

エラー リファレンス

このセクションでは、このポリシーによってエラーがトリガーされたときに返される障害コードとエラー メッセージ、Edge によって設定される障害変数について説明します。これは、エラーに対処する障害ルールを作成するうえで重要な情報です。詳細については、ポリシーエラーについて知っておくべきこと障害の処理をご覧ください。

ランタイム エラー

このエラーは、ポリシーの実行時に発生することがあります。

障害コード HTTP ステータス 原因 修正
steps.basicauthentication.InvalidBasicAuthenticationSource 500 デコードで、Base64 エンコードされた文字列に有効な値が含まれていない場合、またはヘッダーの形式が正しくない場合(たとえば、「Basic」で始まっていない場合)。
steps.basicauthentication.UnresolvedVariable 500 デコードまたはエンコードに必要なソース変数が存在しません。このエラーは、IgnoreUnresolvedVariables が false の場合にのみ発生する可能性があります。

デプロイエラー

以下のエラーは、このポリシーを含むプロキシをデプロイするときに発生することがあります。

エラー名 発生条件 修正
UserNameRequired 名前付きオペレーションに <User> 要素が存在する必要があります。
PasswordRequired 名前付きオペレーションに <Password> 要素が存在する必要があります。
AssignToRequired 名前付きオペレーションに <AssignTo> 要素が存在する必要があります。
SourceRequired 名前付きオペレーションに <Source> 要素が存在する必要があります。

障害変数

ランタイム エラーが発生すると、次の変数が設定されます。詳細については、ポリシーエラーについて知っておくべきことをご覧ください。

変数 説明
fault.name="fault_name" fault_name は、上記のランタイム エラーの表に記載されている障害の名前です。障害名は、障害コードの最後の部分です。 fault.name Matches "UnresolvedVariable"
BasicAuthentication.policy_name.failed policy_name は、障害が発生したポリシーのユーザー指定の名前です。 BasicAuthentication.BA-Authenticate.failed = true

エラー レスポンスの例

{  
   "fault":{  
      "detail":{  
         "errorcode":"steps.basicauthentication.UnresolvedVariable"
      },
      "faultstring":"Unresolved variable : request.queryparam.password"
   }
}

障害ルールの例

<FaultRule name="Basic Authentication Faults">
    <Step>
        <Name>AM-UnresolvedVariable</Name>
        <Condition>(fault.name Matches "UnresolvedVariable") </Condition>
    </Step>
    <Step>
        <Name>AM-AuthFailedResponse</Name>
        <Condition>(fault.name = "InvalidBasicAuthenticationSource")</Condition>
    </Step>
    <Condition>(BasicAuthentication.BA-Authentication.failed = true) </Condition>
</FaultRule>

スキーマ

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